開設 1997/10/4
改訂 1997/12/8
移設 1999/4/29
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銀幕のいぶし銀・第37回
『青葉のころ・よいお年を2』
('99・大宮映像製作所)
監督:宮崎政記
出演:福祉施設「元気な亀さん」若手ヘルパー
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埼玉県坂戸市にある福祉施設「元気な亀さん」を追いかけたドキュメンタリーの第2弾である。ここは、痴呆性のお年寄りと乳幼児、それに障害を持つ若者が生活を共にするという、きわめてユニークな施設であり、それは現在の福祉行政の枠組みからかなり外れたものらしく、公的な補助もないまま苦しい経営を続けているという。
撮影時のヘルパーは22人、そのうち20代の若者が12人をしめる。今回の映画は、そんな若いヘルパーたちの奮闘記が中心である。
他の知的障害者施設から転職してきた女性が語る。今までの施設はお年寄りや障害者を「管理」するだけだったが、ここの施設は本来的な意味の介護を目指している、と。
これこそ「元気な亀さん」の経営者・瀧本夫妻の目論んでいることなのである。
つまり手厚い介護をすること、その一念。おしめも使い捨ての紙オムツにせず、面倒でも1日何回も洗濯する。そのことでお年寄りの健康状態がわかるという。そして子供と生活を共にすることで、お年寄りにも活気が出てくる。「元気な亀さん」では、老人でも子供でも、真っ当な人間らしい扱いを受けているのである。
勿論、その分ヘルパーにかかる負担は非常に大きなものである。お風呂嫌いなお婆さんを入浴させるだけでも、何人ものヘルパーがチームを組んで役割を演じ分けながら、お婆さんをなだめすかしてお風呂へと導いていく。決して無理矢理湯船に連れ込むようなことはしない。映画はその一つ一つの努力をつぶさに追いかけていく。
この施設にきた若いヘルパーは、何に魅力を感じているのであろうか。「実の親子でもなかったくらいの人間的なぶつかり合いを、今の若い人たちが欲しているのではないか」と映画はさらりと言ってのけるのだが、それは映画に描かれていることが雄弁に物語っている。インタビューしている間は、彼女たち/彼らは今時の若者言葉を使うふつうの若者だが、ひとたびお年寄りの前に立った途端、表情が劇的に豊かになるのである。
痴呆症のお年寄りは感情をストレートにぶつけてくる。そんなお年寄りに接するには自分の人間性も大きく解放することが必要なのである。これは介護という枠を越えて、人間と人間の接し方にまつわる大命題である。
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