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銀幕のいぶし銀・第123回 『どろろ』(2007年・138分) 監督:塩田明彦 -------- -------- -------- 昨年の映画界は、全般的に洋画が今ひとつな状況だったのに対し、日本映画は観客動員数や話題性において文字通り絶好調であった。ほんの数年前まで日本映画と言えば、作品クオリティはともかく話題性や人気の面でどうしてもハリウッドメジャーやヨーロッパ映画に劣る場面が多々あったのだが、そんな状況は今では全く過去の物となったかのように、シネコンに来る観客が普通に日本映画を見るようになっているし、ヒットした日本映画の話題が普通に世の中で流布している状態である。これは、作品個々のクオリティの高さだけの問題ではなく、映画を総合的にプロデュースする能力が近年飛躍的に高まっていることを示しているといえる。大型作品については、製作に対応して話題性を次々作り出していき、強力な宣伝力で持ち上げていく一方、規模はそれなりでも良質な作品についてはそれにふさわしいやり方の宣伝展開・公開方法が確立され、相応の観客をつかんでいく方法論が構築されてきたのである。このように日本映画を取り巻く環境が大きく変化して来た中、その波にうまく乗って作品を発表してきたのが今回取り上げる『どろろ』の塩田明彦監督なのである。
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