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銀幕のいぶし銀・第44回

『どら平太』

('2000/「どら平太」製作委員会)

監督:市川崑
脚本:黒澤明・市川崑・小林正樹・木下恵介
出演:役所広司・浅野ゆう子・菅原文太

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 約30年前、斜陽の日本映画界に新しい風を吹かせようと、4人の監督(黒澤明・市川崑・小林正樹・木下恵介)が集まって「四騎の会」を結成した。4人の共同脚本・監督によって映画を作るという、何とも贅沢な発想で、その第1弾に選ばれたのが山本周五郎原作の「どら平太」だった。その後共同で脚本を書き上げるところまで来たが、様々な理由により企画は中止となり、「四騎の会」の活動としてもそのまま中座してしまうことになる。

 そして四人のうち三人まで他界し、残された市川崑が執念で成立させたのが、今回の『どら平太』なのである。

 様々な悪事が横行する江戸の小藩を舞台に、放らつを極める町奉行が型破りなやり方で悪人達をやっつけていく、時代劇エンターテイメント作品だ。ここ半年ほど、久方ぶりに時代劇映画が続いて公開されているのであるが、中でも本作は王道の娯楽作品として際立っている。主演の役所広司は時代劇映画に初挑戦ということだが、そんな気負いを感じさせずにひょうひょうとどら平太を演じているのが小気味よい。

 監督の市川崑も、考えてみると今や日本映画界で最古参の世代に属するのであるが、例によってモダンでシャープな絵作りと素早い編集を基調とした演出である。昨年辺りから、市川崑の50〜60年代の作品を見直す動きが活発化していて、彼の映像的モダニズムが若い世代にも広まっていくきっかけになった。確かに当時の作品は一見しただけで独特の先鋭的な絵作りが目に飛び込んでくる。今回の作品はそこまで鋭いものではないが、それでもオープニングタイトルの、独特のグラフィックデザインは健在である。京都の撮影所に立てられたセットも市川崑の絵作りに大いに貢献している。

 監督市川崑といえば巨匠というイメージが先行しがちなのであるが、『どら平太』などを見ていると、むしろ本来のエンターテイメントに徹する職人ぶりが遺憾なく発揮されていて興味深い。共同脚本の黒澤明や小林正樹らは、間違いなく作家性を重視するタイプなのに比べ、市川崑という人は本来娯楽に徹する人なのである。何といっても『犬神家の一族』を撮ってしまう監督なのだ。あの横溝正史の金田一シリーズの、複雑な人間関係を軸にした謎解き探偵物語を、明晰に解析しながらストーリーを進めていく手腕はやはり驚嘆されるべきだと思う。そう思いをはせていくと、『どら平太』の中にも実は随所に犯人探し的演出の技が見え隠れするから面白いのである。







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