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改訂 1997/12/8
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銀幕のいぶし銀・第32回

『ムトゥ・踊るマハラジャ』

('95・インド)

監督・脚本;K・S・ラヴィクマール
出演;スーパースター・ラジニカーント、ミーナ

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 ここ数年映画ファンの間で、インド映画が爆発的なブームになっている。といっても一昔前のサタジット・レイの芸術色あふれる作品ではなく、もっぱら南インド、ボンベイを中心とする地方の、強烈な娯楽映画の一群である。堅苦しい話は一切抜きの、ミュージカル、アクション、恋愛、その他映画の娯楽的要素をひたすら盛り込んだスタイルで、癖になりそうなほど客を強烈に魅了する。そのブームの火付け役となり、とりわけ素晴らしい作品が、この『ムトゥ・踊るマハラジャ』なのである。

 力が強く正義感だが少しおっちょこちょいなところもある主人公が、絶世の美女と恋愛し、やがて村に巣くう悪人を倒していく、というだけの、本当に典型的なストーリーを、ひたすらあの手この手で面白く見せていくのである。『ベン・ハー』ばりの馬車チェイスあり、香港映画に匹敵するカンフーアクションあり、それに全編に渡ってミュージカルシーンのオンパレードで、見るものを飽きさせることがないのだ。

 以外と知られていないことだが、映画製作本数ではインドはアメリカに次いで世界第2位の映画大国なのである。歴史的にも古く30年代の無声映画時代から現在に至るまで着々と発展を続けたこともあり、インド映画は自国の演劇や音楽、また外国映画の要素を取り入れながら独自の進化を遂げていった。その結果、ヨーロッパや他の国とははっきり違う、固有のスタイルが確立している。途中休憩付きの3~4時間の長さをもち、必ずミュージカルとアクションが話の主体となっているのである。

 この映画の主人公ラジニカーントは国民的スターで、町中が彼のポスターであふれているという。日本人から見ると割とかっこいいオジサン程度なのだが、スクリーンに映るやいなや「スターの輝き」を発散するのである。「スーパースター」の異名をとるのは彼ともう一人しかいないそうだ。それにヒロインのミーナは、また絵に書いたような肉感的美女で、二人でダンスを繰り広げるだけで映画の醍醐味が満喫できるのだ。

 これは紛れもないスター映画である。そして娯楽映画の王道を追求した結果が、これなのである。これは面白くないはずがないではないか。日本でも昭和30年代の映画の黄金時代には確実に存在したスター映画だが、『ビックショー!ハワイに唄えば』(公開中)が、久々に成功している以外は、ほぼ絶滅したに等しいジャンルなのである。これが娯楽映画の一つの極地点であるのは間違いない。




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