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銀幕のいぶし銀・第30回

『グロリア』

('80/米・コロンビア)

監督;ジョン・カサヴェテス
出演;ジーナ・ローランズ

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 今秋公開されるシャロン・ストーン主演の同名映画に先駆け、そのオリジナル版が18年ぶりにリバイバルされることとなった。S・ストーン版がどのようなものかはまだ分からないが、今回紹介するオリジナルの『グロリア』は、色々な意味でいわく付きの「隠れた傑作」なのである。

 まず監督のジョン・カサヴェテスという人は、アメリカ映画の中でも極めて特異なポジションを占める。もともと俳優として出発し『特攻大作戦』や『ローズマリーの赤ちゃん』など数々の映画で個性派として活躍している。初監督作品『アメリカの影』は即興演出を多用した作品で、ヌーヴェルヴァーグなどの映画的運動と呼応する形で高い評価を得た。しかしその栄光の後は苦闘が待っているのである。伝統的ハリウッド製作システムを嫌った彼は既存の映画会社と衝突し、完全なインディペンデントでの映画製作を貫くことになるのである。作品は素晴らしくても興行的に不安定な状況を余儀なくされ、金銭面で苦労の日々が続く。そんな中で様々な幸運が重なってメジャー映画作品として成立したのがこの『グロリア』なのだ。

 ニューヨーク・ブロンクスが舞台のこの映画は、闇組織に追われることとなった子供と事件に巻き込まれた女のサスペンスアクションなのだが、映画は主演のジーナ・ローランズと子役の少年ジョン・アダムスの心の交流が中心になって進む。といってもこの二人の関係は極めてハードである。母子ほども年の離れた二人が「人間として」いかに分かりあえるか、人は相手のことをどこまで理解しうるのか、という点が物語の中心になっていくのである。

 カサヴェテスは様々なテーマの映画を撮っているが、そのどれもが極めて作家色の濃い作品になっている。ジーナ・ローランズを中心として常連俳優との共同作業が映画作りの中心になっていることもあるが、彼の映画に一貫してみられるテーマ……心の闇の部分を表面化し、夫婦にせよ友人にせよ人間関係をいかに濃密に突き詰めるか、という、まさに60年代以降の社会的テーマを一身に背負っていることも大きな原因であろう。彼の映画の中でジーナ・ローランズはしばしば、人格的にバランスを失うほど強烈な愛情の持ち主として登場するが、これは勿論、女優としての彼女がいかに演技へ情熱を傾けていたか、また同時にカサヴェテスの生涯の伴侶である彼女の絶対的な愛情と信頼関係に貫かれたがゆえなのである。この二人は幸せだったに違いない。




[ 銀幕のいぶし銀:目次 ]

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