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銀幕のいぶし銀・第19回

『ボッカチオ'70』

('62、伊=仏合作)


監督:ヴィットリオ・デ・シーカ、フェデリコ・フェリーニ、マリオ・モニチェッリ、ルキノ・ビスコンティ
出演:ソフィア・ローレン、アニタ・エグバーグ、ロミー・シュナイダー

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 あるテーマに基づいた数本の短いエピソードを、それぞれの監督・主演が競作するスタイルの映画をオムニバス形式というが、観客としても一本の映画で幾通りもの楽しみがあり、独自のジャンルとして確立している。イタリアでは50~60年代に、恐怖ものやコメディなど盛んにこの手の映画が作られた。その中でも有名でありながら、長らく短縮版しか見られなかった『ボッカチオ'70』の完全版が公開されている。

 表題のボッカチオはエロティックな挿話集「デカメロン」で有名な14世紀イタリアの作家で、この映画はさながら現代版「デカメロン」といったテーマの艶笑劇であるが、1話で1時間近くの分量があり、全4話で3時間半の大作だ。

 第1話はネオレアリスモの巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督とソフィア・ローレンの主演であるが、このコンビは後に有名な『ひまわり』('69)などを生み出すことになる。ある射的屋の呼び物は毎週末のくじ引きで、景品が何と看板娘のS・ローレン、というコメディ。彼女の健康的な肉体と活力がスクリーンにはじけている。

 第2話はアニタ・エグバーグ主演、フェデリコ・フェリーニ監督、とくればすぐに思い出すのは『甘い生活』('60)。猥褻だと当時スキャンダルになったこの映画を踏まえ、くそ真面目なカタブツ博士をフェリーニは映画の中で散々風刺する。幻想の中で巨大化するA・エグバーグの汎女性的イメージに魅かれていく博士は、後の『81/2』(はちかにぶんのいち)('63)や『アマルコルド』('73)などでさらに磨きがかけられていく。

 第3話が今回初公開となる。マリオ・モニチェッリはイタリアで今も活躍する監督だ。結婚が会社にばれると辞めなければならないので、秘密に結婚した若いカップルの悩みを描く。

 最後にロミー・シュナイダーとルキノ・ビスコンティのコンビは、のちの大作『ルードヴィヒ』('72)である。今回は若い貴族の倦怠を、瑞々しく描いている。ロミー・シュナイダーの若い魅力をこれでもかと引きだした作品だ。

 どれもたわいもない話であるが、いつの時代にも共通の男女の恋愛と性の問題を、いかにもイタリア的にあっけらかんと表現し、しかも4人の監督がおのおのの持ち味を十分に発揮して観客を魅了する。そしてソフィア・ローレン、アニタ・エグバーグ、ロミー・シュナイダーと、3女優ともに見事な演技で、そう思うとこの映画こそ、後にイタリア映画が数々の名作・傑作を生みだす出発点になっていたのである。






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