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銀幕のいぶし銀・第120回

『トンマッコルへようこそ』

(2005年・韓国・132分)

監督:パク・クァンヒョン
音楽:久石譲
出演:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘギョン

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 『グエムル 漢江の怪物』に引き続きまたも注目の韓国映画が登場する。昨年の韓国で観客動員数ナンバーワンの大ヒット作となったこの『トンマッコルへようこそ』であるが、南北朝鮮の交流という大テーマに正面から取り組みつつも、あくまでファンタジックに美しく物語を作り上げ瑞々しい映画に仕上がっているのが魅力的な作品である。


 時は朝鮮戦争の時代、南北で激しい戦いが繰り広げられている事など全く知らない桃源郷のような村での物語である。ちょうど南北の境に位置する山奥のこの村は、数百年もの間、外界と完全に遮断され自給自足の生活を続けていたが、そこに偶然南の兵士・北の兵士・アメリカ軍のパイロットが迷い込んでくる。当然三者はお互いに牽制し合いつばぜり合いを繰り広げ、素朴で心優しい村民たちは対処のしようもなく困ってしまうが、そこに天使のような純朴な少女カン・ヘギョンがトリックスターとなって魔法のように兵士たちの心を安らげていくのである。兵士たちもすぐにこの村の素朴な生き方や雄大な自然に魅入られ、戦争などなかった事のように村民たちと暮らしをともにしていくのである。


 物語としては絵に書いたようなおとぎ話である分、メッセージとして極めて分かりやすく提示されるので大ヒットにも頷けるのだが、だからといってハリウッド映画の大作にありがちな大味さ陳腐さのような部分が全く見受けられないのが、今の韓国映画の底力のすごさなのである。なぜなら監督が、CMの世界では確かに第一人者というが、長編映画としてはこれが第一作なのだ。第一作目にしてこのクオリティのものを、さも当たり前のように生み出してしまえるのは今韓国映画以外にはあり得ないという事実を目の当たりに突きつけられる、それほどまで細部にわたって神経の行き届いたファンタジー世界が成立しているのである。


 それでも日本映画にとって唯一の暁光ともいえるものがあって、それはこの映画が、かなりはっきりと宮崎駿のアニメ世界をモチーフにしている事である。音楽の久石譲の起用が何よりもその証左であり、道祖神のようなキャラクターや自然との関わり合い方などあちこちに宮崎アニメの符号がちりばめられている。思えば『グエムル〜』における黒沢清へのオマージュといい、日本で生み出された映画の芽が韓国で花開いているような、そんな不思議な印象すら感じる今の韓国映画界であるといえよう。





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