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銀幕のいぶし銀・第108回

『ロバと王女』

(1970→2004年・フランス・89分)

監督:ジャック・ドゥミ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン、デルフィーヌ・ゼイリグ、ミシュリーヌ・プレール

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 ビデオやDVDが普及してからも、旧作を再上映するいわゆるリバイバル公開はずっと続いてきたのだが、ここ数年はデジタル技術を駆使し公開当時の状態に近づける「リマスター版」が好評を博している。プリントの退色や音の劣化が復元された作品は新作と見比べても遜色ない状態で、公開当時のオールドファンのみならず始めてみる観客にも受け入れられ易く、黄金時代の映画の豊饒さを満喫できる絶好の機会なのである。今回30年ぶりに蘇る『ロバと王女』は、『シェルブールの雨傘』で有名なジャック・ドゥミの作品で、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーヴをはじめ豪華な出演者が共演するミュージカル映画である。


 原作は『シンデレラ』のシャルル・ペローが書いたお伽噺である。平和に暮らす美しい王女が、数奇な運命から国を出て、醜いロバの皮を身にまとい下女として暮らす羽目になる。そんな王女が様々な苦難を経て素敵な王子と結婚するまでを描く物語であるが、実際のフランス中世の城を使ったと思われるロケーションや、ドヌーヴのまとう豪華なドレスなど、絢爛とした美術がまず目を惹く。現在だと到底真似出来ないと思わせられる程であるが、それ以上に今の映画では無理と思わざるを得ないのは、やはり出演者である。ドヌーヴは言うに及ばす『美女と野獣』のジャン・マレーから『ニュー・シネマ・パラダイス』のジャック・ペランまで、俳優陣の層の厚さに感心してしまう。さらにドゥミのミュージカルと言えば音楽はミシェル・ルグランなのであるが、この作品でも特徴あるメロディで楽しませてくれるのである。


 世代的に見ればジャック・ドゥミはゴダールやトリュフォーとほぼ同世代であり、彼らの特徴を一言で言うと、ハリウッド映画黄金時代の果実をいかにフランスで受け継ぐか、という点がまず挙げられるのだが、言うまでもなくドゥミのミュージカル志向はジーン・ケリーに代表される50年代ハリウッド映画が根底にある。『ロシュフォールの恋人たち』で念願のジーン・ケリーを出演させた後、ドゥミは遂にアメリカに渡って映画を撮るのだが、その作品『モデルショップ』は今までの作風とは違って内省的な青年の挫折の物語であった。批評も厳しく、再度本国に戻って制作した『ロバと王女』がこのような形のファンタジーミュージカルになったのは、この経験が下地にあるからと思えてしまう。つまりアメリカ映画に強い憧憬があったにも関わらず、実際のアメリカはドゥミの期待からほど遠かった、その反動で全くフランス的なお伽噺へ志向が向かったのではないかと思える。この作品がこれまでのドゥミのミュージカルと違っているとするならその部分なのである。





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