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改訂 1997/12/8
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銀幕のいぶし銀・第106回

『サマータイムマシンブルース』

(2005年・ROBOT、東芝エンタテインメント、博報堂 DYメディアパートナーズ、IMAGICA)

監督:本広克行
出演:瑛太・上野樹里・真木よう子・佐々木蔵之介

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 最近の映画興行を見ると、洋画が一部の大ヒット作以外苦戦しているのに対し、アニメも含めた日本映画が全般的に好調であると報じられている。象徴的なのは予想を遙かに超えヒットした『電車男』であり、新しい若い年齢層が映画の観客として着実に広がってきていることを物語っている。ここ数年指摘され続けてきたハリウッド映画の企画のマンネリ化、すなわち過去作品・他国作品のリメイクとホラーとSFX多用などという限られた要素からあまりにも抜けきれない状況が、いよいよ観客離れを起こしているのに対し、日本では『電車男』に代表されるような新たな挑戦がそれなりに受け入れられる土壌が出来つつあると言える。今回取り上げる作品は『踊る大捜査線』シリーズや『交渉人 真下正義』などのヒットメーカー・本広克行が自らプロデュースも務め、傑作舞台劇を原作にしたSFコメディ作品であるが、そもそも日本でこの手のジャンルはなかなか受け入れられなかっただけに、本広克行という看板があるにせよ商業映画としては挑戦的な作品となるだろう。


 ある夏の暑い日、大学のSF研究会に突如タイムマシンが現れる。暇を持て余してしょうがない面々はおもちゃのようにタイムマシンで遊びまくるが、過去をみだりに変えると現在が消滅すると分かった彼らは必死に昨日と今日の辻褄を合わせようとする、という物語である。タイムマシンものというジャンルの王道のようなテーマなのであるが、この映画がうまいのは、物語を昨日と今日の2日間に限定しひたすら昨日と今日を往復するストーリーにすることで、複雑になりがちな物語展開を非常にスマートにまとめているところである。そしてパズルを組み立てるように時空を整理し、全ての辻褄があった瞬間のカタルシスが、見事なミステリーが解決するように魅力的なのである。例えば同じ古典的SF映画でも『宇宙戦争』とは全く逆のアプローチであり、かなり純粋にストーリー自体の魅力だけで映画を成立させようという試みは実は相当難易度が高い。ヒッチコックや「スパイ大作戦」に通じる面白さであり、そのような映画にチャレンジすることは高く評価されてしかるべきであろう。


 日本映画でこういう作品が生み出せるようになったというのは、映画製作的な立場から見ると、企画製作体制に良い意味での余裕が産まれてきたからではないか。実際この作品には、邦画大手もテレビ局も絡んでいないわけで、それだからこその自由さを、作品のなかに見出すことが出来る。このような規模の映画がますます観客に受け入れられれば、日本映画は必ず良い方向に向かうと思えてくるのである。





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